
学校の先生って、社会経験が無いから常識ないよね
あなたも一度はそんな言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
僕自身、民間企業から教員に転職して、今も現場で教壇に立っています。だからこそ、その言葉を聞くたびに違和感を覚えます。確かに、一つの組織でしか働いていない教員は、会社員から見ると「世間知らず」に映るのかもしれません。
でも、本当にそうでしょうか?
僕の考えは違います。
もちろん、さまざまな会社を経験した人の方が偉い、という話ではありません。ここで伝えたいのは、
ということです。
民間企業を経験し、今も教員として働く僕だからこそ気づいた、教員が持つ3つのビジネススキルを紹介します。
1. 問題解決・調整能力:多様な利害をまとめ上げる力
教員の仕事は、生徒指導、保護者対応、そして同僚との連携など、日々さまざまな「問題」に直面します。
特に10代の生徒が抱える悩みは、大人から見れば些細なことかもしれません。たとえば、最近よくある「LINEのグループから外された」といった人間関係のトラブル。しかし、当事者にとっては人生の一大事です。
僕は、こうした問題が起きたとき、当事者である生徒にじっくり寄り添い、双方の意見を聞き、解決に向けて動いています。この「対立する当事者の間に立ち、双方の主張を汲み取りながら落とし所を探る」というプロセスは、まさにビジネスにおけるクライアントとの交渉やチーム内の調整そのものです。
2. 人に教える能力:誰にでもわかりやすく伝える力
教える人員と書いて「教員」。だからこそ、人に物事を伝える能力は、どの仕事にも負けない強みです。
「人に教える」ことは、会社でも必須のスキルです。どんなに優秀な人でも、一人で全ての仕事を完結させることはできません。後輩を指導したり、部下に仕事を任せたりする場面では、「どうすれば相手に伝わるか」「どうすれば相手が理解して動いてくれるか」を考える必要があります。
教員は、生徒一人ひとりの理解度に合わせて言葉を選び、時にユーモアを交えながら、根気強く知識を伝えます。この経験から培われた「相手のレベルに合わせて情報をカスタマイズし、確実に伝える力」は、ビジネスにおけるプレゼンテーション能力や、プロジェクトの進捗を共有する際に大いに役立ちます。
3. 高いストレス耐性:理不尽を乗り越える打たれ強さ
教員は、他の職業よりも理不尽な状況に直面することが多いかもしれません。生徒、保護者、そして同じ教員からも、予期せぬトラブルやプレッシャーを受けることがあります。
生徒からの理不尽は、ほとんどの先生が乗り越えられます。保護者からの理不尽も、顧客対応だと割り切れば対処できるでしょう。
最も手強いのは、同じ教員からの理不尽です。多くの学校現場では、終身雇用や年功序列といった古い体制が根強く残っています。部活動の指導方針や定時の感覚など、世代間の意識の違いからくるストレスは決して小さくありません。
こうしたさまざまな理不尽を乗り越え、メンタルを保ちながら職務を全うする経験は、強靭なストレス耐性を生み出します。それは、新しい環境や困難なプロジェクトにも臆することなく立ち向かえる、大きな武器となるのです。
まとめ
教員は、たまたま新卒で入った会社が学校だった人だけではありません。僕のように、民間企業での経験を経て教壇に立つ人もいます。そこで得たスキルは決して社会で通用しないものではなく、むしろ、一般企業ではなかなか経験できないような、特殊で多様なスキルを身につけています。
もしあなたが「教師からの転職」に不安を感じているなら、心配はいりません。教員として培った経験は、きっとあなたの強みになります。そしてもし、あなたが教員に対して「社会常識がない」と感じているなら、一度その先入観を捨ててみてほしいのです。彼らが持つ意外なスキルに、きっと驚くはずですから。
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